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事業計画書の書き方【店舗ビジネス向け】10の構成項目と売上計画の立て方を解説
事業計画書の役割は大きく2つあります。(1)自分の頭の中の構想を整理し、目標や事業内容を具体化する「自己整理」、(2)金融機関から開業資金の融資を受けたり、一緒に取り組む仲間を集めるために関係者の協力を得ること、です(J-Net21・中小機構)。この記事では、構成の10項目、店舗ビジネス向けの売上計画の立て方、融資で使う創業計画書テンプレートの活用まで、順番に解説します。
この記事でわかること
事業計画書が必要な2つの理由(自己整理と関係者への説明)
事業計画書の10の構成項目と各項目の内容
サロン・理美容店の売上計画の立て方と計算例
損益計画と損益分岐点の基本的な考え方
日本政策金融公庫の創業計画書テンプレートの使い方
計画書を書くときの3つのポイント
事業計画書が必要な2つの理由
事業計画書を作る目的は、開業前の「整理」と、開業資金を確保するための「説明」の2つです。どちらの目的で書くかによって、重点を置く項目が変わります。
自分の構想を整理し、目標を具体化する
開業しようと考えたとき、アイデアや思いはあっても、それが実際の事業としてどう成り立つかは、頭の中だけでは曖昧なままになりやすいです。事業計画書を書く作業が、構想を具体的な数字と言葉に変えていくプロセスになります。
J-Net21(中小機構)は「書きながら考える」アプローチを推奨しており、事業コンセプトと現状分析から書き始め、書きながら全体像を具体化していく方法が多くのケースで使われています。一度にすべてを決めてから書き始める必要はなく、書き進めるなかで矛盾に気づき、修正しながら整合性を高めていくイメージです。
融資・出資・仲間集めに使う
金融機関に融資を申し込む場合、事業計画書は審査の基本資料になります。融資目的で書く場合は、「利息を含め、きちんと貸したお金が返済できること」が判断のポイントになるため、損益計画の実現性を示すことが重視されます(J-Net21・中小機構)。
また、事業パートナーやスタッフを集める場面でも、事業の方向性を伝えるための共通資料として役立ちます。同じ計画書でも、読む相手が融資担当者か協力者かによって、強調すべき点が異なります。
事業計画書の基本構成:10の項目
J-Net21(中小機構)が示す事業計画書の構成項目は以下の10項目です。
項目 | 内容の概要 |
|---|---|
① ビジョン・目標 | 事業を通じて実現したいこと、目指す姿 |
② 事業コンセプト | どんな価値を、誰に、どうやって提供するか |
③ 業界・競合分析 | 市場環境、競合の状況、自分のポジション |
④ 事業の優位性 | 競合に対して自分が強みとできること |
⑤ 販売・仕入計画 | 売上の積算方法、仕入や原価の見立て |
⑥ 人員計画 | スタッフの人数、役割、採用・育成の方針 |
⑦ 投資・調達計画 | 開業に必要な費用の総額と資金の調達先 |
⑧ 損益計画 | 売上・コスト・利益の見通し |
⑨ 損益分岐点を使った目標売上高 | 赤字にならないために最低限必要な売上の計算 |
⑩ 実行計画 | いつ、何を、どの順番で進めるかのスケジュール |
各項目に一貫性を持たせることが重要です。たとえば、業界・競合分析で示した市場環境と、損益計画の数字が食い違っていると、計画書全体の説得力が落ちます。数値と記述が整合するよう、各項目を書き終えたら全体をひとつながりで読み返す習慣が役に立ちます(J-Net21・中小機構)。
店舗ビジネスの売上計画の立て方
事業計画書のなかで最初につまずきやすいのが、売上計画の積算です。「どれくらい売れるか」を根拠のある数字にする方法を整理します。
サロン・理美容店の基本公式
飲食店や理美容店の売上計画は、「客単価 × 席数 × 回転率 × 営業日数」で積算できます(J-Net21・中小機構)。
客単価:1人のお客様が1回の利用で支払う金額
席数(チェア数):サロンのスタイリングチェア(施術台)の数
回転率:席がどのくらい利用されたかを示す指標。たとえば10席のサロンに1日100人来店すれば、回転率は10です(J-Net21・中小機構)
営業日数:月あたりの営業日
この公式の特徴は、席数と回転率を分けて考えることで、「何席あれば何人受けられるか」という設備の計画と、「実際に何人来店しそうか」という集客の見立てを切り離して検討できる点です。
計算例で見てみます
たとえば、スタイリングチェア4席のサロンで、客単価8,000円、1日の回転率1.5(4席が1.5回転で1日6名)、月25営業日の場合で考えてみます。
月間売上の概算は次のとおりです。
8,000円(客単価)× 4席 × 1.5(回転率)× 25日(営業日数)= 120万円
これは席が毎日安定的に埋まる前提での計算です。開業直後は予約が少なく、立ち上がりに時間がかかるのが一般的といわれます。計画書には「1か月目は回転率0.8、3か月目から1.2、半年後に1.5を目指す」のように段階的な想定を書いておくほうが、現実に即した計画になります。
また、店舗販売(物販)の比率が高い場合は「1坪あたりの年間売上高 × 売場面積」や「1日あたりの客数 × 客単価 × 年間営業日数」を使うケースもあります。取り扱う商品の種類が多い場合は後者の形で積算するほうが把握しやすいこともあります(J-Net21・中小機構)。
損益計画と損益分岐点の考え方
売上の見立てができたら、次はコストを並べて、利益の構造を確認します。
損益計画の基本構造
損益計画は次の構造で整理します(J-Net21・中小機構)。
売上高 − 売上原価(施術に使う材料費・仕入商品など)= 売上総利益
売上総利益 − 販売費および一般管理費(人件費・家賃・減価償却費など)= 営業利益
売上原価の計算が難しい場合は、同業界の平均的な売上原価率(売上原価÷売上)を参考にするのがひとつの方法です(J-Net21・中小機構)。サロン業は業態や提供サービスによって原価率が変わるため、具体的な仕入先の見積もりが取れれば、それを使う方が精度が上がります。
損益分岐点の計算方法
損益分岐点売上高とは、赤字にならないために最低限必要な売上のラインです。計算式は次のとおりです(J-Net21・中小機構)。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費比率)
変動費:売上に比例して増える費用(施術に使う材料・仕入商品など)
固定費:売上に関わらず一定にかかる費用(正社員の給与・店舗の家賃など)
たとえば、月の固定費が60万円で変動費比率が20%の場合、損益分岐点売上高は「60万円 ÷(1 − 0.2)= 75万円」になります。月75万円以上の売上がなければ営業利益は出ない、という見通しが立てられます。
目標利益が決まっている場合は「(固定費 + 目標利益)÷(1 − 変動費率)」で、必要な売上高を逆算できます(J-Net21・中小機構)。損益分岐点を把握することで、「月あたり最低何人のお客様に来てもらう必要があるか」を席数・客単価・回転率の公式に戻して確認できます。
日本政策金融公庫の創業計画書テンプレートを活用する
融資を申し込む場合、日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業計画書テンプレートを使うことが一般的です。公庫は「新たに事業を始める方に事業計画等を記入いただく」ための創業計画書の書式をExcel形式とPDF形式で公式サイト(jfc.go.jp)から無料で公開しています(日本政策金融公庫)。
公庫の創業計画書の構成
公庫の創業計画書には、次の項目が含まれています(日本政策金融公庫)。
創業の動機・経営者の略歴等
取扱商品・サービス
取引先・取引関係等
資金計画
収支計画
J-Net21の10項目と比べると、競合分析や人員計画は独立した欄として明示されていませんが、「創業の動機・経営者の略歴等」の欄で、なぜこの事業をやるのか・何が強みかを記述する形になっています。融資申し込みに使う場合は、提出先の金融機関が指定する書式に沿って書くのが基本です。
美容業の記入例を活用する
公庫は業種別の創業計画書記入例をPDFで公開しており、美容業を含む9業種の例が用意されています(日本政策金融公庫)。美容業はサロン系ビジネスに最も近い業種として参考にできます。売上の根拠や人件費の見込みをどう書くかの参考になるため、テンプレートを初めて使う場合は記入例とセットで確認するのがおすすめです。
融資の審査基準や通過可否は、申し込む内容・条件によって異なります。申し込み前には公庫の窓口または税理士・中小企業診断士などの専門家への相談が確実です。
計画書を書くときの3つのポイント
ポイント1:6W2Hで具体化する
J-Net21(中小機構)は、6W2H(When・Where・Who・Whom・Why・What・How・How much)を意識して書くことを推奨しています。「良いサービスを提供する」ではなく、「何の施術を、誰に、いくらで、どこで提供するのか」まで落とし込む、ということです。事前知識のない人が読んでも内容が伝わるよう、専門用語には注釈を付け、数字は図表を使って示すと説得力が増します。
ポイント2:「書きながら考える」で全体像を固める
完成形を思い描いてから一気に書こうとすると、手が止まりがちです。事業コンセプトと現状分析(業界・競合)から書き始め、書きながら数字や計画を固めていく進め方が、多くのケースで使われています(J-Net21・中小機構)。書き進めるなかで気づいた矛盾を修正しながら、全体の整合性を高めていくイメージです。
ポイント3:数値と記述の整合を最後に確認する
業界・競合分析で「市場全体が成長している」と書いたのに、損益計画が著しく保守的な売上に留まっているなど、項目間の矛盾は計画書の信頼性を下げます。各項目を書き終えたあとで全体を通して読み、数値と記述が食い違っていないかを確認する時間を取ることが重要です(J-Net21・中小機構)。
まとめ
事業計画書の役割は、自分の構想を具体化することと、融資・協力を得るための説明資料の2つです。J-Net21(中小機構)が示す構成は10項目で、店舗ビジネスの売上計画は「客単価×席数×回転率×営業日数」で積算できます。融資申し込みには日本政策金融公庫の創業計画書テンプレート(Excel/PDFで無料公開)が使えます。
作成のポイントをまとめます。
事業コンセプトと現状分析から書き始め、書きながら全体像を固める
6W2Hで具体化し、事前知識のない人が読んでわかるように書く
数値と記述の整合性を最後に確認し、項目間の矛盾をなくす
損益分岐点を計算し、最低限必要な売上のラインを把握しておく
まずは公庫の創業計画書テンプレートをダウンロードし、美容業の記入例と見比べながら書けるところから埋め始めてみてください。
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よくある質問
事業計画書と創業計画書は違いますか?
呼び方は似ていますが、創業計画書は主に日本政策金融公庫など金融機関への融資申し込みで使われる書式の名称です。「創業の動機・経営者の略歴、取扱商品・サービス、取引先・取引関係、資金計画、収支計画」で構成されます(日本政策金融公庫)。一方、事業計画書はより広い概念で、競合分析や人員計画など用途に応じて項目が増えます。融資目的で書く場合は、提出先の金融機関が指定する書式に沿うのが基本です。
サロンの売上計画はどうやって立てますか?
理美容店・サロンの売上計画は「客単価×席数(チェア数)×回転率×営業日数」で積算できます(J-Net21・中小機構)。回転率は「10席のサロンに1日100人来店=10回転」のように、席がどのくらい使われたかを示す数字です。開業直後は来客が少ない期間を想定した段階的な計画(1か月目・3か月目・半年後など)を作っておくと、現実に即した見立てになります。
損益分岐点はどう計算しますか?
損益分岐点売上高は「固定費÷(1−変動費比率)」で計算できます(J-Net21・中小機構)。変動費は売上に比例する費用(材料費・仕入商品)、固定費は売上に関わらず一定にかかる費用(正社員の給与・家賃など)です。たとえば月の固定費が60万円で変動費比率20%なら、損益分岐点売上高は75万円です。この計算から、最低限必要な売上の目安が把握できます。
日本政策金融公庫の創業計画書テンプレートはどこで入手できますか?
公庫の公式サイト(`jfc.go.jp`)からExcel形式とPDF形式で無料でダウンロードできます(日本政策金融公庫)。美容業を含む9業種の記入例もPDFで公開されており、書き方の参考にできます。はじめて作成する場合は、テンプレートと記入例を並べて確認しながら進めると、抜け漏れを防ぎやすくなります。



