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開業届の出し方・書き方【2026年版】期限・必要書類からe-Tax提出まで解説
開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)は、個人で新たに事業を始めたときに税務署へ提出する届出書です。国税庁によると、提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。提出方法はe-Tax・郵送・税務署窓口の3通りで、手数料はかかりません。物件や内装に比べると地味な紙1枚ですが、青色申告や屋号付き口座など、開業後のお金まわりの入口です。この記事では、美容室やネイルサロンなど店舗開業を控えた方に向けて、書き方と出し方を、サロンの記入例つきで解説します。
この記事でわかること
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の役割と、提出が必要になる人
2026年時点の提出期限と、開業日の決め方
様式の主要記入欄の書き方(職業欄「美容業」などサロンの記入例つき)
e-Tax・郵送・税務署窓口、3通りの出し方と本人確認・控えの違い
青色申告承認申請書との同時提出など、あわせて検討したい手続き
開業届とは?事業を始めたことを税務署に知らせる届出書
正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」によると、新たに事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業を開始した方が提出するもので、根拠は所得税法第229条です。美容室・ネイル・エステ・リラクゼーションなどのサロン経営で得る所得は、通常この事業所得に当たります。
許認可のように審査を待つ手続きではなく、「事業を始めました」という事実を税務署に知らせる届出です。提出先は納税地を所轄する税務署長です(出典:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」)。届出のため、手数料はかかりません。
なお、保健所や消防など業種ごとの手続きは開業届とは別枠です。全体像はサロン開業の手続きチェックリストで整理しています。
開業届を出すとできること・役立つ場面
開業届の控えは、屋号付きの銀行口座を開設するときや、補助金・融資の申請で開業の事実を示す書類として求められる場合があります。また、青色申告には各種の特典があり(出典:国税庁 タックスアンサーNo.2090)、選ぶなら開業届と承認申請書をセットで出す流れが自然です。様式にも「青色申告承認申請書」の提出の有無を書く欄があります(出典:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」様式)。
開業届はいつまでに出す?2026年時点の提出期限
提出期限は「開業した年分の確定申告期限まで」
国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」によると、開業届は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」に提出します(2026年7月時点)。たとえば2026年8月にサロンを開業した場合、2026年分の確定申告期限である2027年3月15日が提出期限です。期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限になります(出典:同手続案内)。
なお、ネット上には「開業日から1か月以内」と書かれた記事が残っていますが、これは以前の期限です。現在は所得税法第229条・国税庁の手続案内のいずれも「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」としています。古い記事の日付だけで判断せず、国税庁の手続案内で確認してください。
期限より早く出したほうがいい理由
期限だけを見ると余裕がありますが、開業後はできるだけ早めに出しておくことをおすすめします。理由は青色申告承認申請書の期限です。1月16日以降に開業した場合、青色申告の申請期限は「事業を開始した日から2か月以内」とされており(出典:国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」)、開業届本体の期限より先に締め切りが来ます。屋号付き口座の開設など、控えの出番が開業直後に来ることもあります。
開業日はどう決める?
「事業の開始等の事実があった日」が具体的にいつを指すかについて、国税庁の手続案内に細かい基準は示されていません。サロンであれば、店舗のオープン日を開業日とするのが分かりやすい決め方です。内装工事の段階から支出が始まっているなど、判断に迷う場合は税務署に相談すると安心です。

開業届の書き方:様式の主要記入欄を順に解説
様式PDFと記載要領は国税庁サイトで公開されています(リンクは記事末尾の参考文献へ)。ここでは実際の様式の項目名に沿って、サロンの例で記入欄を見ていきます。
提出先・提出日・納税地
用紙の上部に、提出先の税務署名と提出日を記入します。提出先は前述のとおり、納税地を所轄する税務署です。「区分」欄には、納税地に応じた番号を記入します(住所地は5、居所地は6、事業所等は7)。原則は住所地(自宅)で、店舗の所在地を納税地にすることもできます。あわせて郵便番号と電話番号も記入します。
氏名・生年月日・マイナンバー(個人番号)
氏名(フリガナつき)と生年月日、マイナンバー(個人番号)を記入します。国税庁の記載要領によると、届出書の提出時には12桁の個人番号の記載と、届出をする方の本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。また、自分用の控えには個人番号を記載しない(コピーなら番号部分が写らないようにする)よう案内されています(出典:同記載要領)。
職業・屋号:サロンなら「美容業」など
「職業」欄には、事業の内容が伝わる名称を記入します。美容室なら「美容業」、ネイルサロンなら「ネイルサービス業」、エステサロンなら「エステティック業」といった書き方が分かりやすい例です。「屋号」欄には、店名が決まっていればフリガナとあわせて記入します。決まっていなければ、開業届のために無理にひねり出す必要はありません。
届出の区分・所得の種類
「届出の区分」は、開業の欄に「1」を記載する形式です。様式内にも「該当する届出に『1』を記載してください」という説明があります(出典:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」様式)。「所得の種類」は、該当する所得のチェック欄にレ印を付けます(出典:同記載要領)。サロン経営の所得は通常、事業所得です。様式では「事業(農業)所得」と書かれた欄が該当します。
開業・廃業等日
「開業・廃業等日」欄に、開業日を記入します。様式では「開業や廃業、事務所・事業所の新増設等のあった日」と説明されている欄です。「開業日はどう決める?」で整理した日付をそのまま記入します。
「青色申告承認申請書」の有無欄
「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」欄では、「青色申告承認申請書」を一緒に提出するかどうかを「有・無」で答えます。消費税の「課税事業者選択届出書」の欄も並びますが、該当がなければ「無」で構いません。
事業の概要・給与等の支払の状況
「事業の概要」欄は、様式に「できるだけ具体的に記載します」とあるとおり、「美容室の経営(カット・カラー等の施術)」のように書きます。
「給与等の支払の状況」欄は、スタッフを雇う場合に、届出日時点の給与の支給人員や給与の定め方(日給・月給等の区分)、源泉徴収すべき税額の有無を記載する欄です(出典:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」記載要領)。同じ並びにある「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」と「給与支払を開始する年月日」も、雇用があるなら記入します。給与の支給人員が常時10人未満であれば、源泉所得税を年2回にまとめて納付できる「納期の特例」も検討対象です(詳細は国税庁の案内をご確認ください)。1人で開業するなら、この欄は記入不要です。
開業届の出し方:e-Tax・郵送・税務署窓口の3通りを比較
国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」によると、提出はe-Taxのほか、書面の持参または送付でもできます。つまりe-Tax・郵送・税務署窓口の3通りです。違いを表にまとめました。
提出方法 | 手間・準備 | 本人確認 | 提出の記録(控え) |
|---|---|---|---|
e-Tax | パソコンのe-Taxソフトで作成・送信。初めての場合は利用者識別番号の取得が必要 | 本人確認書類の提示・写しの添付は不要 | 受信通知がメッセージボックスに残り、受付番号や受付日時を確認できる |
郵送 | 様式を印刷・記入し、納税地の税務署へ送付 | 本人確認書類の写しを添付 | 切手を貼った返信用封筒を同封すると、当分の間、日付・税務署名入りのリーフレットが返送される |
税務署窓口 | 開庁時間(8時30分〜17時)に持参。閉庁日は時間外収受箱への投函も可能 | 本人確認書類を提示 | 希望者に日付・税務署名入りのリーフレットが交付される(当分の間) |
表は国税庁の手続案内と「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」に基づきます。本人確認書類は、マイナンバーカード、または通知カードと運転免許証といった組み合わせが様式の確認欄に例示されています(通知カードは2020年に新規交付が終了しており、記載事項が住民票と一致している場合に限り番号確認に使えます)。
控えと収受日付印:2025年1月からの変更点
国税庁によると、2025年(令和7年)1月から、開業届を含む申告書等の控えへの収受日付印の押なつは行われなくなりました。提出は正本1枚のみで、控えが必要なら自分でコピーを作り、提出年月日を記録するよう案内されています。また国税庁は、金融機関や行政機関に対して、収受日付印のある控えを求めないよう周知を進めているとしています(出典:国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」)。
e-Taxなら受信通知が残り、受付番号や受付日時をあとから確認できます。
開業届を出し忘れたらどうなる?
提出が遅れた場合の罰則は、国税庁の手続案内には定められていません。ただし、青色申告承認申請書の期限(1月16日以降の開業なら開業日から2か月以内)は別に進んでいくため、放置すると「今年分は青色申告を選べなかった」という影響が先に出ます。屋号付き口座や補助金の申請で、開業を示す書類が必要な場面でも困りやすくなります。
また、開業届を出していなくても、事業所得などを生ずべき業務を行う方には記帳と帳簿書類の保存が必要とされています(出典:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」記載要領)。届を出していないから事業ではない、ということにはなりません。出し忘れに気づいたら、その時点でできるだけ早く提出しましょう。
開業届と一緒に検討したい手続き:青色申告承認申請書
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告には各種の特典があります(出典:国税庁 タックスアンサーNo.2090)。要件を満たした場合の青色申告特別控除(最大65万円)が代表例です。提出期限は、国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」と開業届の記載要領によると次のとおりです。
1月15日までに新たに事業を開始した場合:その年の3月15日まで
1月16日以降に新たに事業を開始した場合:事業を開始した日から2か月以内
年の途中でサロンを開くなら「開業から2か月以内」が実際の締め切りです。開業届本体の期限を基準に動くと間に合わないため、青色申告を予定する方はこの期限から逆算してください。
開業届と同時に出すのがスムーズ
青色申告を予定しているなら、開業届と同じタイミングで承認申請書も作成し、一緒に提出すると申請漏れを防げます。申請書の様式と書き方は、国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」のページで最新版を確認してください。
サロン開業なら、開業届の次に進めたい準備
開業届は、サロン開業の手続き全体から見ると序盤の1枚です。税務以外にも、物件・資格・保健所関係の準備が続きます。次の記事もあわせて役立ててください。
手続き全体の抜け漏れ確認:サロン開業の手続きチェックリスト
開業資金の目安と調達方法:サロン開業の資金ガイド
準備から開業日までの流れ:サロン開業の流れまとめ
開業日が近づいたら、予約の受け付け方やレジ、顧客情報の管理方法も決めておきたいところです。開業後の予約・レジ・顧客管理を1つにまとめたい方には、サロン向けクラウドPOS「SalonX」という選択肢もあります。
まとめ
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、提出期限が「開業した年分の確定申告期限まで」とされ、e-Tax・郵送・税務署窓口の3通りで提出できる、手数料のかからない届出です。押さえておきたいポイントは次の3つです。
青色申告を選ぶなら、承認申請書の期限(1月16日以降の開業は開業日から2か月以内)が先に来るため、開業届も早めに出す
書面での提出はマイナンバーの記載と本人確認書類が必要。e-Taxなら本人確認書類の提示・写しは不要
2025年1月から控えへの収受日付印はなくなったため、控えは自分でコピーを取り、提出日を記録しておく
まずは国税庁サイトから様式PDFをダウンロードして、この記事の順番どおりに記入してみてください。
※本記事は情報提供を目的としたものです。個別の手続きは税務署にご確認ください。
参考文献
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よくある質問
開業届はいつまでに出す必要がありますか?
国税庁の案内では、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出するとされています(2026年7月時点)。たとえば2026年中の開業なら、2026年分の確定申告期限である2027年3月15日が期限です。ただし青色申告を予定している場合は、承認申請書の期限(1月16日以降の開業なら開業日から2か月以内)が先に来るため、開業後早めの提出が安心です。
開業届を出さないとどうなりますか?
提出が遅れた場合の罰則は、国税庁の手続案内には定められていません。ただし、青色申告承認申請の期限に間に合わず、その年分は青色申告を選べなくなるといった影響が出ることがあります。屋号付き口座の開設などで控えが必要になる場面もあるため、気づいた時点で早めに提出しましょう。
開業届はe-Taxで提出できますか?
はい。開業届はe-Tax・郵送・税務署窓口の3通りで提出でき、e-Taxの場合は本人確認書類の提示や写しの添付が不要です(出典:国税庁の手続案内)。パソコンのe-Taxソフトで届出書を作成して送信します。初めて利用する場合は、利用者識別番号の取得が必要です。
開業届の提出に費用はかかりますか?
手数料はかかりません。様式PDFと記載要領は国税庁サイトで無料公開されており、印刷して郵送や窓口持参で提出するか、e-Taxで送信できます。郵送時の切手代などの実費は別途かかります。



