開業
サロン開業に必要な設備・ツール一覧:決済・レジ・予約・会計まで
サロンの開業準備で「何を揃えればいいか」と迷うオーナーは少なくありません。施術台やシャンプー台といった施術設備はイメージしやすいですが、レジ・決済端末・予約システム・会計ソフトなど、経営を回すためのツール類は見落としがちです。この記事では、開業に必要な設備・ツールをカテゴリ別に一覧にまとめ、選び方のポイントも解説します。
この記事でわかること
開業に必要な設備・ツールを「施術」「レジ・会計」「予約・顧客管理」「決済」の4カテゴリで整理
カテゴリ別のおおよその費用感と、開業資金全体に占める割合の目安
決済・レジ・予約を別々に用意する場合と一台にまとめる場合の違い
開業前に確認すべき設備チェックリスト(業種別の注意点つき)
よくある「設備の選び方」の失敗パターンと回避策
開業設備の全体像:4つのカテゴリで整理する
開業に必要なものを大きく分けると、次の4カテゴリになります。「施術設備」「レジ・会計ツール」「予約・顧客管理システム」「決済端末」です。施術設備は物理的な備品、残りの3カテゴリはサービスや機器が混在します。まず全体像を把握してから、個別の品目に入ると費用の見積もりが立てやすくなります。
カテゴリ | 主な品目 | 開業資金に占める目安 |
|---|---|---|
施術設備(内装工事と一体で発生しがち) | 施術台・シャンプー台・椅子・鏡・照明など | 内装と合わせて5〜6割程度 |
レジ・会計 | POSレジ(タブレット or 専用機)・会計ソフト | 5〜15% |
予約・顧客管理 | 予約システム・顧客情報管理ツール | 3〜10% |
決済端末 | カードリーダー・QR決済端末・キャッシュドロア | 5〜10% |

編集部まとめ(費用は目安)
上記の割合は一般的な目安です。物件の造作状況や業種によって大きく変わります。具体的な開業資金の内訳と融資の考え方は東京でのサロン開業ガイドでも解説しています。
カテゴリ1:施術設備
施術設備は開業費用の中心を占め、業種によって必要なものが変わります。ここでは美容室・ネイルサロン・リラクゼーションサロン・エステサロンの4業種に分けて整理します。
美容室・ヘアサロンの主な施術設備
品目 | 目安の費用 | 備考 |
|---|---|---|
セット椅子(スタイリングチェア) | 1脚 3万〜15万円 | 居抜き物件では既存品を活用できる場合あり |
シャンプー台 | 1台 10万〜30万円 | 給排水工事が必要。工事費は内装費に含む |
スチーマー・ドライヤー | 各 1万〜5万円 | 施術内容に合わせて選定 |
鏡・収納棚 | セットで 5万〜20万円 | 造り付けの場合は内装工事に含む |
タオルウォーマー | 1台 1万〜3万円 | 衛生管理のための必需品 |
美容所としての保健所登録が必要な業種(美容室・まつげエクステサロンなど)では、施術スペースの広さ(東京都の例では作業室の床面積13㎡以上)や換気・消毒設備などの基準を満たす必要があります。基準は都道府県・自治体の条例により異なるため、開設届の手続き詳細は必ず管轄の保健所または専門の行政書士に確認してください。
ネイルサロンの主な施術設備
品目 | 目安の費用 | 備考 |
|---|---|---|
ネイルテーブル | 1台 1万〜5万円 | 自宅サロンでは既存の机を転用するケースも |
ネイルチェア・スツール | 各 1万〜3万円 | 長時間作業のため姿勢サポート重視 |
ジェルネイルライト(LEDランプ) | 1台 5,000〜2万円 | 高速硬化タイプは作業効率に直結 |
ネイル用品・カラージェル | 初期セットで 5万〜20万円 | カラー数を絞って開業し、徐々に増やすのが一般的 |
ネイルサロンは美容師免許・保健所登録ともに不要です(まつげエクステを同一店舗で行う場合は美容所登録が必要になります)。規制の違いを業種別に整理した記事はサロン開業の手続きチェックリストも参考にしてください。
リラクゼーション・エステサロンの主な施術設備
品目 | 目安の費用 | 備考 |
|---|---|---|
ベッド(施術台) | 1台 2万〜15万円 | 折りたたみ型は自宅サロン向け。固定型は施術精度が高い |
フェイシャル・スチーマー | 1台 3万〜10万円 | エステのみ。リラクゼーションでは不要なケースも |
リネン類(シーツ・タオル) | 初期セットで 2万〜5万円 | 使い捨てと洗い回し型の比較コスト試算を先に行う |
BGMスピーカー・照明 | セットで 1万〜5万円 | 空間づくりの重要な要素。顧客満足に直結 |
カテゴリ2:レジ・会計ツール
施術が終わったあとの「お会計」を支えるのがこのカテゴリです。レジ(POS)と会計ソフトは分けて導入することもできますが、連携に手間がかかる場合があります。
POSレジの選択肢と費用の目安
種類 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
タブレット型クラウドPOS | 月額 3,000〜15,000円程度 | iPad等を使用。導入が簡単で、データはクラウドに自動保存 |
専用POSレジ端末 | 本体 10万〜30万円程度 | 動作が安定。サポートが手厚い傾向。初期費用が高め |
スマートフォン + アプリ | 月額 0〜数千円程度 | 1人サロンや開業初期向け。機能は限定的 |
費用の目安は一般的な市場価格の参考値です。プランや契約条件によって変わります。詳細は各サービスの公式サイトでご確認ください。
会計ソフト・経費管理
個人事業主として開業する場合、毎年2〜3月に確定申告が必要です。領収書の保管や経費仕分けを手作業で行うと時間がかかるため、開業初日から会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)を使い始めることが推奨されます。POSレジと会計ソフトが連携していると、売上データの手入力が省けます。
カテゴリ3:予約・顧客管理システム
予約管理ツールの主な選択肢
予約管理ツールは大きく3つに分かれます。
ホットペッパービューティーなどポータルサイトの予約機能を利用する 新規集客には効果的ですが、ポータルごとに料率も課金方式も異なる手数料がかかります。来店ごとに定額がかかるタイプの見直し方はミニモの手数料と自社予約への移行方法で解説しています。常連客の予約でも手数料がかかる点がオーナーの負担感につながります。
単体の予約システムを導入する POSやCRMとは別に運用します。月額費用は機能によりますが、データがシステム間で分散するため、予約情報を会計や顧客管理に活かすには手作業での転記が必要になります。
POSレジと一体化した予約機能を使う 予約→会計→顧客情報が同一システムに入るため、転記ミスが起きにくくなります。導入コストは割高になる場合がありますが、運用の手間と複数サービスの月額を合算すると逆に安くなるケースもあります。
新規はポータルサイトを活用しながら、常連客の予約は自社チャネルに移行していく段階的なアプローチが現実的です。一元管理の考え方についてはサロン一元管理ガイドでくわしく解説しています。
顧客管理(CRM)で押さえるべき機能
顧客情報の管理に最低限必要な機能は次の3つです。
来店履歴の記録:前回の施術メニュー・担当者・お客様のメモを残す
次回予約の管理:会計のタイミングで次回を予約してもらう導線
リマインドメッセージの送信:予約前日や来店後のお礼をLINEやメールで自動送信
紙のカルテや手書きの予約台帳から移行する場合の進め方は紙カルテ・手書き予約からサロンシステムへ移行する手順で解説しています。
新規のお客様を1人集めるためのコストは、既存のお客様に再来店してもらうためのコストより大きくなりがちです。高い再来率を実現しているサロンとの差は「フォローアップの仕組みがあるかどうか」にあります。再来率の考え方と具体策は美容室の再来率を上げる7つの仕組みでくわしく解説しています。顧客管理ツールは集客より先にリピーター化を支える基盤です。
カテゴリ4:決済端末
キャッシュレス決済の種類と手数料の目安
決済種別 | 手数料の目安 | 備考 |
|---|---|---|
クレジットカード(VISA/Master等) | 2.5〜3.25%程度 | モバイル決済系は2.5%前後。契約条件・ブランドで変わります |
QR決済(PayPay・d払い等) | 1.6〜3%程度 | PayPay直接契約は1.60〜1.98%。決済代行経由や他社QRは2〜3%程度 |
電子マネー(交通系等) | 2.5〜3.25%程度 | 決済代行サービス経由が一般的です |
現金のみ | 手数料なし | 釣り銭管理・入金の手間がかかる |
手数料率は各社の公開情報をもとにした参考値です。実際の契約条件は各決済サービス会社の最新情報をご確認ください。たとえば月商100万円のうち70万円がキャッシュレス決済(手数料率3%と仮定)なら、決済手数料は月2万1,000円です。ポータルサイト経由の予約手数料は別に発生するため、合計のコスト構造を開業前に把握しておきましょう。
端末の選び方
決済端末は単体で導入することもできますが、POSレジと連携できるものを選ぶと、会計時の入力が一度で済みます。スマートフォン対応のカードリーダー(Square・Airペイ・STORES 決済など)は初期費用が低く、1人サロンや開業初期に導入しやすい選択肢です。
レジ・予約・決済を「一台にまとめる」という選択肢
ここまで4カテゴリを別々に見てきましたが、最近はレジ・予約・顧客管理・決済・売上管理を一台のシステムに統合できるクラウドPOSもあります。
別々に揃えた場合のコスト例(月額・概算)
ツール | 月額の目安 |
|---|---|
予約システム単体 | 3,000〜10,000円 |
POSレジ単体 | 3,000〜8,000円 |
顧客管理ソフト | 3,000〜8,000円 |
会計ソフト | 1,000〜3,000円 |
合計 | 10,000〜29,000円程度 |
一台にまとめた場合、個別のシステム間でデータを転記する手間が省け、予約から会計・給与計算まで一気通貫で管理できます。サロン向けクラウドPOS「SalonX」は、レジ・決済・予約・売上管理を一台で完結できる選択肢のひとつです。機能の概要を見る →
開業前の設備チェックリスト
実際に開業準備を進めるときの確認手順を、6ステップで整理します。
業種・開業形態の確定:美容所登録が必要な業種かどうかを確認し、保健所への事前相談を予約する
物件・内装の確定:居抜き or スケルトンを決定。造作譲渡の場合は既存設備の引き継ぎ品目をリスト化
施術設備の見積もり・発注:必要品目と優先度を整理。中古品の活用も検討
レジ・予約・決済の選定:月額コストを比較。試用できるサービスは実際に操作して確認する
保健所検査の予約と対応:申請から検査まで2〜4週間程度かかることが多い(所要期間は自治体により異なります)。工期から逆算して早めに動く
スタッフ・オーナー向けシステム研修:開業前日ではなく、1〜2週間前に操作に慣れる時間を確保する
居抜き物件の注意点: 前テナントの設備を引き継ぐ場合、機器の老朽化・清掃状態・保健所基準への適合を必ず確認してください。見た目が問題なくても、給排水や電気容量が基準を満たしていないケースがあります。
まとめ
サロン開業に必要な設備・ツールは、「施術設備」「レジ・会計」「予約・顧客管理」「決済端末」の4カテゴリで整理すると全体像が掴みやすくなります。押さえておきたいポイントは次の3点です。
内装・施術設備が開業費用の中心(合わせて5〜6割が目安)。業種によって必要品目が異なる
レジ・予約・決済は別々に揃えると月額コストが積み重なる。一台にまとめる選択肢もある
新規獲得にかかるコストは既存のお客様の再来店を促すコストより大きくなりがち。顧客管理ツールはリピーター化の基盤として開業初日から使い始めることが大切
設備の全体像を把握したうえで、開業資金の内訳と資金調達の方法を深く知りたい方は東京でのサロン開業ガイドも合わせてご覧ください。一元管理で運営の手間を減らす方法はサロン一元管理ガイドで解説しています。
参考文献
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よくある質問
サロン開業に必要な設備費用の目安はいくらですか?
テナントでの美容室開業は、物件取得・内装・設備・運転資金を合わせて800〜1,500万円が一般的な目安とされています。居抜き物件の活用や1〜2席の小規模開業では、これより数百万円単位で抑えられるケースもあります。内訳と調達方法は「美容室の開業資金ガイド」でくわしく解説しています。
予約システムは開業初日から必要ですか?
開業初日から導入しておくことが望ましいです。開業当初は「知人・SNSフォロワー・ポータルサイトからの問い合わせ」が主な予約経路となりますが、電話やDMで予約を受けていると、管理が煩雑になり予約の取りこぼしが起きやすくなります。LINE予約や自社予約ページを最初から整備しておくと、顧客情報も蓄積しやすく、リピーター育成の基盤が早く整います。
決済端末は何種類用意する必要がありますか?
経済産業省の算出では、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%に達しています(2026年3月発表・国内指標ベース)。カード・QR・電子マネーに1台で対応できる端末を選んでおくと、支払い手段を理由にした失注を避けられます。
ネイルサロンは保健所の届出が必要ですか?
ネイルサロン単体(ネイル施術のみ)は、美容師免許も保健所への美容所登録も不要です。ただし、同一店舗でまつげエクステサービスを提供する場合は「美容所登録」が必要になります。まつ毛エクステンションは厚生労働省の見解で美容行為とされており、美容師免許を持つ人が、美容所として登録された施設で施術する必要があります(出典:厚生労働省「美容師法の概要」)。業種の組み合わせによって必要な手続きが変わるため、開業前に最寄りの保健所か専門家への確認を強くお勧めします。



